ニーハオ、xilinです。
台北の故宮の近くにある順益台湾原住民博物館に行って来ました!ここは珍しい私立の博物館。しかも台湾の原住民に特化した博物館です。原住民の文物を個人的に集めていらした林清富さんという実業家が作ったのだとか。きっと税金対策も多分にあるのだと思いますが、お金持ちのやることはスゴイですね!
台湾の原住民って何?
しかしそもそも台湾の原住民って???という人も多いと思います。日本では北海道のアイヌ民族以外は少なくとも私は知らないのですが、なんと台湾には16の原住民族が今も実際に生活をしているそうです。台湾全体でざっと55万人ほどの原住民が生活しているとのこと。
※台湾政府が認定しているのが16民族というだけで、実際にはもっと多いとのこと。
台湾というと中国語が話されていることもあって、中華系の人や文化を思い浮かべる人が多いと思うのですが、実はそれはつい最近のこと。17世紀に中国本土から大量の移民が発生し今のようになっているのですが、「それより前から台湾に住んでいた人たち」が原住民という呼ばれ方をしています。
高山族と平埔族
分かりやすく理解するために台湾では原住民を大きく2つに分けて話すことが多いようです。
- 平埔族:台湾の平地に居住。台湾の主に西側に多い。中国本土から漢民族が大量に移民してくることで、徐々に漢民族との同化が進んだ。
- 高山族:台湾の山岳地帯に居住。台湾の主に東側に多い。中国本土からの移民が平地に居住することが多かったことから、あまり同化は進まない。あるいは、平地から山岳地帯に追いやられてしまったのか…⁉
この高山族と平埔族という区分の中に、〇〇民族と〇〇民族がある~となっていて、それらが全部で16あるそうです。並べてみるとずいぶん多い…。しかも政府が認めている部族が16というだけで、実際にはもっと多いとか…。
- 阿美族 (アミ族)
- 泰雅族 (タイヤル族)
- 賽夏族 (サイシャット族)
- 布農族 (ブヌン族)
- 鄒族 (ツォウ族)
- 排灣族 (パイワン族)
- 魯凱族 (ルカイ族)
- 卑南族 (プユマ族)
- 雅美族 / 達悟族 (タオ/ヤミ族)
- 邵族 (サオ族)
- 噶瑪蘭族 (カヴァラン族)
- 太魯閣族 (タロコ族)
- 撒奇莱雅族 (サキザヤ族)
- 賽德克族 (セデック族)
- 卡那卡那富族 (カナカナブ族)
- 沙阿魯阿族 (サアロア族)
順益台湾原住民博物館
上記で触れてきた台湾原住民に関する博物館が順益台湾原住民博物館です。地下1階~3階までびっしりと原住民のお話しなので、台湾の歴史や文化に興味のある人には最高の内容だと思います。各階ごとにそれぞれテーマがありました↓
- 1階 :人と自然環境 (台湾原住民族の分布と外観)
- 2階 :生活と道具
- 3階 :服飾と文化
- 地下1階:信仰と祭礼
台湾は九州ほどの小さな島国ですが、その環境はエリアによって大きく違います。台湾中で滞在してきている私たちには、ようやく理解できるようになりましたが、海辺もあれば、3000m級の山岳地帯もあるし、雨がめったに降らないエリアや逆に雨ばかりのエリア。様々な環境があるからこそ、台湾に16以上ある原住民の生活や文化はそれぞれ独自のものになっていったようです。
1階:人と自然環境
1階がいわゆる入口に当たる場所になりますが、まず目に飛び込んできたのが原住民族の分布図でした。それぞれの民族が台湾のどのエリアで生活しているのかを図で示しています。
私たちは今のところ台湾の西の海岸エリア(台北、台中、台南、高雄、墾丁など)をザっと、それから北東部分の宜蘭をサクッと見てきました。その私達からすると台湾の地図の上に、何か別のテーマの分布図が載ってくると非常に興味深いものに見えます。「あ~、このエリアには〇〇民族が住んでるんだ。確かに××があったな~」みたいに最近の記憶を遡りながら、思い出に追加の情報を加えていくことが出来ます👍
↑こちらは東部の離島、蘭嶼という台湾の中の離島に暮らすタオ族が漁に出るときに使う船です。蘭嶼には一度行ってみたいと思っているんですよね~。なんとこの船はクギを使うことなく、複数の木材で組み合わせて作っているとか😲 いったいどうやっているんでしょう。確か日本の職人技にもそんな木材の組み方があったような気がします。
こちらは博物館のパフォーマンスだと思いますが、原住民族をかたどった石板の上に、映像をプロジェクションマッピングのように重ねることで、立体的でユニークな作品になっていました。
2階:生活と道具
2階に上がるとまず先に目を奪われるのはたくさん並べられた壺。この壺は台湾南部で生活する排灣(パイワン)族のものですが、彼らにとって壺はとても神聖なもので家柄や格式を表す道具の1つだったとか。
そんな重要なものなので、娘が嫁ぐ時には壺の縁の部分を割って、その欠片を持たせることで家柄を残したそうです。そのために、博物館2階に並べられた壺の縁は全て欠けていました😲
「加トちゃんペッ!」ではありません(←古い!)。こちらは原住民の中でも高い家柄の人しか持つことが許されなかった鼻笛と呼ばれる楽器。日本では笑い者にしかならないであろうシュールな見た目ですが、鼻笛を吹ける=格式の高い家柄、となるということでしょうか…。文化の違いというものは本当に面白いですね。
部族ごとに編み方が違っていて、それぞれの部族が独立していたことがよく分かります。
2階の一番奥には、排灣(パイワン)族の家屋の模型が設置されています。模型の上のスクリーンには、家屋についての説明や、家屋の建て方のアニメーション映像が流れていました。アニメーションの中で、家屋を立てる際に「祖霊柱」というものをはじめに家屋内に立てていたのですが、これは、部族の代表の家屋の柱で、祖先を呼び戻すために設置された木製の柱だそうです。台湾の原住民が祖先を大事に考えていたことがよく分かります。
アニメーションには日本語の字幕も付けることも出来ますし、アニメーション自体もすごくかわいく出来ているので是非ご覧ください👍
3階:服飾と文化
3階では服飾品や刺青文化を紹介していました。これもそれぞれの部族によって違った個性があり興味深いです。
ちょっと分かりづらいですが、服のボタンがいくつか無くなっているのが分かりますか?長い年月の間に取れてしまったわけではなく、物々交換の際にボタンをお金の代わりに使っていたからなんだそうです😲 何か買う時にボタンを「ブチッ」と引きちぎっているんですね…。私たちには想像しづらいのですが、確かにボタンの並び方を見ても両側にボタンがついていて、服の前の部分をボタンで留めるために浸かっているわけではなさそうです。
中には成人女性の膝ほどまで長い首飾りもあるみたいです。私たちは原住民のアクセサリーの色遣いがとても好きなので、こういったものにはずっと見取れていました😆
刺青(タトゥー)に関しても展示がありました。実はこの時には地下1階でも特別展示がやっていました。
原住民の刺青(タトゥー)は、現在のようにオシャレという意味合いもあったようですが、それよりも何か大きなことを成し遂げたり、自身の武勇を表したりといった形で使われていました。また、最大の理由は部族の一員であることを示すためだったそうです。あるいは、部族によっては家柄や階級を表すこともあったそうです。
男性と女性で刺青(タトゥー)を入れる場所は違っていて、男性は主に胸・背中・腕。女性は主に手の甲に刺青を入れていたそうですよ。
地下1階:信仰と祭礼
「アニミズム」という言葉を知っていますか?生物のあるなしを問わず、全てのものの中に霊魂や霊が宿っているという考え方のことを言いますが、台湾の原住民はまさにこのアニミズム信仰と言われるものです。
部族の中で何か悪いことがあれば悪霊のせいですし、逆に良いことがあれば精霊のおかげです。
そのためにこの霊や霊魂に祈りを捧げるためのお祭りを行います。要は神様のご機嫌取りに近いことなんでしょうね。
部族の中にはシャーマンと呼ばれる(日本では巫女や祈祷師などと呼ばれる)人たちがいます。彼らの最大の役割は、この悪霊によって病気や怪我をしてしまった人たちの治療だということです。
最後に恐ろしくも、どうしても興味を惹かれて仕方なかったのが、コチラです↓
首狩り…⁉😱
いくつかの原住民の間では首狩りが行われていたそうです。異民族などの敵対勢力に対して行われていたそうですが、そもそもこの首狩りが出来なければ一人前と認められないという部族もあったそうですよ😲 ここではあまり詳細な話しはなかったので、また改めて調べてみたいと思います。
順益台湾原住民博物館の地図とアクセス
台湾原住民博物館は、MRTの駅からは遠く歩いて行くのはおすすめ出来ません。バスかタクシーで行く必要がありますが、故宮博物館から非常に近いので、一緒に行ってみてもいいかもしれませんね👍 バスで行くようであれば、士林夜市の最寄り駅である士林駅か剣潭駅からバスで1本で行けますよ!
【順益台湾原住民博物館】
住所 :台北市士林區至善路二段282號
入場料金:1人150台湾ドル(オーディオガイドは別途1人50台湾ドル)
公式Web:http://www.museum.org.tw/symm_jp/
他にもたくさんの台北の観光地で楽しんできましたよ♪
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